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クレジットカードの番号を他者に読みとられずにクレジットカード会社に伝えたい場合、パッケージを送ったあと、カギもクレジット会社に渡す(―緒に送ったのでは無防備ですから、別に送るということになりますが)か、クレジットカード会社がもっているカギ(これは利用者ごとに違ったカギです。
同じカギだったら、別の利用者にあけられてしまいます)と同じカギを利用者がもつかしなければなりません。
小規模で考えるとうまくいきそうですが、インターネットの規模では動かなくなってしまうのです。
クレジットカード会社が世界中の人を相手にしたとしたら、世界中から届くカギを保管しなければいけないし、個別のカギを配るのもたいへんだし、世界中の人に同じカギを配ったのではそもそも暗号の意味をなしません。
インターネットの重要課題そこで閉じるときと開くときと、違うカギを用いる公開カギ暗号メカニズムが考案されて、実際に使われているのです。
この仕組みでは、公開カギ(パブリック・キー)と秘密カギ(プライベート・キー)という―対の二本のカギを用意します。
公開カギはその名前のとおり広く流通していますが、秘密カギは一人一本だけで、どこにもコピーキーはありません。
そして―ここは実際のカギと違ってややこしいのですが1この二つのカギは、どちらもパッケージを閉じることも開くこともできます。
ただし、それは同じパ.ッケージについては閉じるか開けるかどちらか―作用だけです。
つまり、公開カギでパッケージを閉じたら、公開カギでは開けられず、開けるには公開カギと対になる秘密カギが必要です。
また逆に、秘密カギでも閉じることができるのですが、秘密カギでは開けることができず、その秘密カギと対の公開カギで開けるしかないのです。
ここで、先ほどと同じく、クレジット番号を送る場合で、この仕組みがどう働くかを見てみましょう。
まず、クレジット会社は顧客全部に同じ公開カギを配ります。
そして客のほうは自分のクレジット番号をその公開カギで閉じて送ります。
それを受け取ったクレジット会杜は、その会社しかもっていない秘密カギでクレジット番号を開けばよいのです。
クレジット会社が秘密カギをしっかり保管していさえすればだいじょうぶ、第三者がパッケージを読もうとしても、開けるカギがないので秘密は保持されるという仕組みです(もちろん、流通している公開カギから見当をつけて、秘密カギをつくり出すということは不可能ではありませんが)。
ここでついでに言っておくと、インターネットの仕組みにおいては、見ようと思えば必ず、「乗換駅」で中身を見ることができるようになっています。
これは仕方がないことなのです。
一章で説呪した通り、「中間」にはできるだけ負担をかけないというのがインターネットの哲学だからです。
ですから中身を秘密にしたかったら、両端でする。
そのための手段は暗号化しかなく、こうした事情でインターネットでは、暗号化技術がセキュリティの中心になっているのです。
電子署名さて、実はこの公開暗号カギの仕組みで、もうひとつの重要なことができるのです。
それはインターネットの重要課題個人を認証できるというもので、開発した三人の頭文字をとってRSA法と呼ばれ、またの名を電子署名というものです。
たとえば実際の書類では契約書などで、「これは確かに私が書いたものである」ということを示す必要がしばしばあり、そのようなときには署名や捺印をします。
インターネットでも同等のことができるのです。
まず、送り手は、パッケージを自分の秘密カギで閉じます。
そして―そのままでは公開カギを使って途中で見られる可能性がありますから―さらにその上から、相手の公開カギでカギをかけて送ります。
受け取った側では、まず自分の秘密カギで開ける。
すると中からはカギがかかったパッケージが出てきます。
ただし差し出し人の名前はその表に書いてあるのでわかります。
そこで、その人の公開カギをもち出してきて、開けようとしてみます。
ここでそのパッケージが開く。
そのカギで開いてしまうパッケージとは何かといえば、それは差出人の秘密カギで閉じられたパッケージである。
そしてその秘密カギは差出人本人しかもっていないから、そのパッケージは間違いなく差出人本人が出したといえるわけです(もちろん差出人が秘密カギをきちんと管理していなければ何にもならないことはいうまでもありません)。
少しややこしいですが、公開暗号カギは、公開カギと秘密カギの組み合わせがひとつの暗号として成立している技術なので、このようなことができるのです。
アメリカ政府の思惑このようにセキュリティに関する技術はすでに存在していて、問題は、それを運用していく仕組みがあるのかという段階にすでに入ってきていると思います。
そしてここで、大きな問題が生じているのです。
それは、アメリカ政府が、このセキュリティをめぐる暗号化の技術の輸出入に対して、保安上の理由で、たいへん強い危快を表明しているということです。
強力な暗号化の技術が世界に流通することについてのきわめて強い抵抗感があるのです。
具体的には、いま紹介したRSA法についても、カギ(ソフトウェア)の長さが二五六ビット以上の、つまり非常に強いカギの輸出は禁止しています。
世の中に非常に解きにぐいカギ(カギの長さは長ければ長いほど強くなるのです)が出回ることはとにかく避けたいという考えなのです。
インターネットの竜要課題これはむしろ国民性の違いや政府の方針の違いで、判断が分かれてくる問題です。
つまり、政府が破れない機密というものがあってはいけないのだということを前提に国家を運営していくのか、個人がプライバシーをもつ必要があるのだということについて国が口出しをする必要はないのだと考えていくのか、これによって大きく対応が違ってくる問題で、残念ながらいまでも、この面での国際的な協調とコンセンサスは得られていません。
そこでインターネットの世界では、その国の制度が違ってもなんとか動いていくセキュリティの仕組みを考えているのが現状です。
具体的には、アメリカでつくられるカギと、アメリカ以外でつくられるカギとが相互運用性をもって動けるように、と考えているわけです。
カギそのものをつくることは禁止していないので、それぞれの場所でつくってそれらが連携して動くようにという努力をしているのですが、なかなかうまくいかず、アメリカ政府に、インターネットのグループからも対応の改善を要求するメッセージを送ったりしています。
実社会とセキュリティの関係セキュリティの問題では、どのように、誰が情報を守っていくのか、そもそもどこにプライバシーが必要なのか、プライバシーとはどの範囲なのかということを考えていく必要があるのですが、それはたぶんインターネットの世界に限らず、実社会でも同じ課題をもっているのだと思います。
たとえば、多くのコンビニエンスストアのレジには、子供、中高生、若者、中年、熟年というようなボタンがあって、レジでは客を見て最初にそれを打ってから商品にとりかかるということが行われていて、それによって詳細塞販売情報をコンビニエンスストアは得ることができています。
また、レンタル・ビデオの会員規約には、レンタルの個人情報は公開してもよいという契約条項が入っていることが多い。

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